デニムを中心としたカジュアルウェア・ブランドUES(ウエス)

ウエスは日本製にこだわり、プロダクトを通じて日本の「良いモノ」「良い技術」を情報発信します。

モノづくりの現場

#03 紡績

UESのジーンズ用の糸を紡績する工場を訪問しました。UESのデニムは、糸の原材料から、太さ、そしてムラ形状まで、完全自社オリジナル仕様。原綿の輸入から紡績までを行うこの紡績工場は、110年の歴史を誇る老舗。長い歴史で培われた技術で優れた品質を生み出しています。

紡績
屑綿

コーマ糸とカード糸を紡績する過程で発生した屑綿。
原綿からカード糸を紡績する場合、約10%が屑綿になり、より品質の高いコーマ糸を紡績すると25%が屑綿になります。写真左がカードの屑綿で、右がコーマの屑綿。これらの屑綿は糸ではなく、クッション材等の資材として活用されます。

原綿の保管倉庫の様子。世界各国の綿が集まります。アメリカ、オーストラリア、そしてブラジルの3か国で世界需要の約80%を賄っています。これにギリシャを加えると90%。UESデニムの原材料であるジンバブエコットンは、残りの10%の中に含まれます。さらにオリジナルの糸に使用している茶綿は流通量が非常に少なく貴重です。原綿の一つのブロックの重さは約210kg。

保管倉庫
  • 紡績

    梱包をほどかれた綿。綿は嵩が張るため、輸送効率を考えて圧縮梱包されます。どれだけ圧縮して小さく運びやすくするかが、輸送コストを大きく左右します。

  • 紡績

    少しずつ、綿のふくらみが蘇ってきます。

  • 紡績

    圧縮された綿の塊を、表面をかきとりながらほぐし、掃除機のような機械で吸い取って次の工程へ送られます。

  • 紡績

    大きな機械で綿を回転させているところ。洗濯機のような動きで、綿を回転して持ち上げ、落とす。比重の差で汚れた部分を分離していきます。

  • 紡績

    上記の工程を2回繰り返すことで、屑綿を分離するとともに綿が柔らかくなります。紡績の工程は、“混ぜて引っ張る”の繰り返しです。

  • 綿をシート状にする工程。不織布のような状態で、この段階では綿の繊維方向はバラバラです。

  • カードと呼ばれる機械にかけられる前のシート状の綿

  • カード機械に装着されたブラシ。シート状の綿は、上下逆回転するブラシに挟まれ、通過することで徐々に繊維方向が整えられていきます。

  • 紡績の設備では珍しいとされる、Wカードの機械。2回カードの工程を経ることで、より繊維方向の揃った高品質な糸が生み出されます。

    UESオリジナルの糸は茶綿をブレンドしています。綿を混ぜる段階では、均一に混ぜてしまっては粗野な味わいが出ないので、程よい混ざり具合になるように調整しています。UESのデニムを特徴付ける茶綿だが、工場の端のラインで紡績されていました。聞くと、茶色い色の綿が他へ混入すると問題になるので、茶綿の紡績はまとめて行うか、ラインを分けて行うとのこと。一度茶綿を加工すると、機械を清掃しなければならないので、非常に手間がかかっています。

  • Wカードの機械を通過した綿状のシートを、引っ張りながら撚りをかけて、太いロープ状にします。このロープ状の綿をスライバーと呼びます。

  • スライバー。
    この状態では綿の繊維方向は揃っています。

  • 8本のスライバーを撚り合わせながら、1本のスライバーにまとめて行く工程。

    そのスライバー8本を、さらに1本のスライバーへと撚り合わせていきます。つまり、最初のスライバー64本分が1本にまとめられることになるのです。

  • 上から下へと糸が送られる過程で、どんどん撚りをかけて目標とする太さに整えられていきます。

  • 最終工程。下から上へと糸は送られ、コーン状に巻き取られて完成。この工程では、糸の欠点(あまりにも太いムラ等)を除去しています。機械が検知し、欠点箇所を切断分離。驚くのは、切れた糸を空気の噴射で撚り合わせて自動接合すること。切れた糸が瞬時につながる様子は見事です。

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